SNSで顔がどんどん怖くなっていく男性のミームを見かけたことはありませんか。その正体が「ミスターインクレディブルミーム」です。ピクサー映画の主人公が、通常の表情から段階的に不気味な姿へと変化していく動画形式で、TikTokやYouTubeを中心に世界的な人気を集めました。

この記事では、ミスターインクレディブルミームの元ネタと誕生の経緯、Uncanny・Canny・Ascendedといった種類の違い、使われる曲、日本での広まり方までをまとめて紹介します。ミームの意味を知っておくと、SNSでの投稿がより楽しく感じられるはずです。

すでにこのミームを知っている人にとっても、フェーズごとの意味や派生バリエーションを整理して知る機会になるはずです。順を追って見ていきましょう。

  • ミスターインクレディブルミームの元ネタと誕生の経緯
  • Uncanny・Canny・Ascendedなど種類ごとの意味
  • ミームで使われる曲やBGMの変遷
  • 日本での広まり方とTikTokでの楽しみ方

ミスターインクレディブルミームの元ネタと経緯

ここでは、ミスターインクレディブルミームがどの作品から生まれ、どのような経緯でここまで広まったのかを時系列で整理します。初出から現在の形式に至るまでの流れを知ると、SNSで見かける派生動画の意味がぐっと分かりやすくなります。

ミームが広まるまでの年表

元ネタは映画Mr.インクレディブル

ミスターインクレディブルミームの元ネタは、2004年に公開されたピクサー・アニメーション・スタジオの映画『Mr.インクレディブル』です。主人公のボブ・パーは、かつて活躍したスーパーヒーロー「ミスターインクレディブル」で、引退後は保険会社に勤めながら平凡な生活を送っています。がっしりとした体格と実直な表情が特徴的なキャラクターで、家族を守るために再びヒーロー活動へと踏み出す姿が作品の軸になっています。作品の詳しい情報はディズニー公式サイトでも紹介されています。

ミームで使われているのは、この主人公の顔を切り抜いた一枚のイラストです。もともとは映画のワンシーンをやわらかいタッチで描いたファンアートで、それ自体に特別な意味は込められていませんでした。しかし、この絵を加工する遊びが広がったことで、まったく別の文脈を持つインターネットミームへと生まれ変わっていきます。元の映画とミームの雰囲気がまったく異なる点は、初めて知ると驚く人も多いポイントです。

作品を未見の人でも、ミームだけを見て楽しんでいる人が多いのも特徴です。とはいえ、元ネタとなった映画を知っておくと、なぜこのキャラクターが選ばれたのかという背景がより理解しやすくなります。ミームという言葉自体の意味や由来もあわせて知っておくと理解が深まります。

映画本編では、妻のイラスティガールや3人の子どもたちとともに家族全員でヒーロー活動に挑む姿が描かれており、単なるアクション作品ではなく家族の絆をテーマにしたホームドラマとしての側面も強く持っています。続編の制作も発表されており、シリーズとしての人気は現在も続いています。ミームの元になった一枚の表情が、実はこうした温かい物語を持つ主人公のものだったと知ると、ミームの見え方が少し変わってくるかもしれません。

なお、キャラクターの表情が加工素材として広く使われるようになった背景には、正義感が強く感情表現が豊かな顔立ちであることも影響しているとされています。喜怒哀楽がはっきりと描かれているからこそ、わずかな加工でも表情の変化が伝わりやすく、ミーム素材として扱いやすい造形だったといえます。

映画『Mr.インクレディブル』はアカデミー長編アニメ映画賞を受賞するなど評価の高い作品で、続編の制作も発表されています。ミームの元になったキャラクターが、実は名作映画の主人公だったと知って驚く人も少なくありません。

初出は2020年10月のX投稿

現在のミームにつながる最初の画像は、2020年10月15日にX(旧Twitter)のユーザーである「CitizenPlain」氏が投稿した一枚のイラストだとされています。アニメ調のキャラクターを、あえて実写に近い質感で描き直す「逆トゥーン化」と呼ばれる手法で加工されたもので、通常のミスターインクレディブルとは異なる、どこか居心地の悪い雰囲気を持つ仕上がりになっていました。

この投稿はすぐに大きな話題にはなりませんでしたが、加工しやすい構図だったことから、他のユーザーが似たようなテイストの画像を作って反応するという流れが少しずつ生まれていきます。同年11月には、コピー機で何度も複写したような劣化を表現するミームも派生し、単なる一枚絵から「加工して遊べる素材」へと役割が広がっていきました。

この段階ではまだ「フェーズ」と呼ばれる連続的な変化の形式は確立されておらず、あくまで単発のネタ画像という位置づけでした。

興味深いのは、「逆トゥーン化」という加工手法自体が、このミームだけにとどまらなかった点です。アニメ調のキャラクターをあえて実写風に描き直す表現は、他の映画やゲームのキャラクターにも応用され、一種の加工トレンドとして広がっていきました。ミスターインクレディブルの一枚は、その流れの中でも特に加工しやすく、変化の見せ方に幅を持たせやすい題材として選ばれ続けた結果、後のフェーズ形式の土台になったと整理できます。

Traumatized形式で人気化

2021年7月ごろになると、このキャラクターの顔を段階的に歪ませていく「Traumatized Mr. Incredible(トラウマを抱えたミスターインクレディブル)」と呼ばれる形式が登場します。穏やかな表情から徐々に目つきが鋭くなり、肌の質感が生々しくなっていく編集は、それまでの単発ネタとは一線を画すストーリー性のある演出として受け止められました。詳しい解説はニコニコ大百科にもまとめられています。

あわせて使用されるBGMも、最初は軽快な曲調から始まり、進行にあわせて不協和音の混じった重苦しい音楽へと切り替わる作りが定着していきます。映像と音楽の両方が同時に変化していくことで、見る側に強い緊張感を与える構成になっている点が、この形式が支持された大きな理由です。

この「変化のプロセスを楽しむ」という発想こそが、後のフェーズ形式へと引き継がれていく重要な転換点になりました。

編集の技術面では、目の周りの陰影を濃くしたり、肌の色味を徐々にくすませたりといった小さな加工を積み重ねることで、一枚の顔が少しずつ「別人」に見えてくる工夫が凝らされています。「トラウマ」という名前がついたのも、こうした段階的な崩れ方が、心理的な負荷が積み重なっていく様子を連想させたためとされています。単なる怖い顔ではなく、じわじわと変化していく過程そのものが恐怖の演出として機能している点が、この形式のポイントです。

2021年9月にフェーズ形式確立

現在よく見られる「フェーズ1」「フェーズ2」といった段階分けの形式は、2021年9月27日にYouTubeチャンネル「músicos Cínicos」が公開した動画がきっかけになったとされています。この動画では、通常の表情を起点に、複数の段階を経て徐々に不気味な姿へと変化していく構成が採用され、後続の制作者たちに大きな影響を与えました。詳細な変遷は英語圏の解説サイトKnow Your Memeでも詳しく記録されています。

フェーズという考え方が加わったことで、ミームは一枚絵の加工から、時間経過を伴う「変化の物語」へと性質を変えていきます。各フェーズには制作者ごとに異なる解釈が加えられ、同じフォーマットでありながら無数のバリエーションが生まれる土壌が整いました。

この時期の動画群が、現在まで続く派生ミームの共通言語のような役割を果たしています。

フェーズ形式が広まった後は、後発の制作者たちが独自のフェーズ7・フェーズ8を付け足したり、既存のフェーズを別の音楽に差し替えたリミックス版を作ったりする動きも活発になりました。ひとつの動画が完成形として固定されるのではなく、視聴者やほかの制作者が手を加えて広げていくという参加型の性質を持っていたことも、このミームが長く支持され続けている理由のひとつです。

2021年12月にTikTokで拡散

フェーズ形式が確立された後、実際に大きく拡散したのは2021年12月です。TikTokユーザーの投稿がきっかけとなって短期間で再生数を伸ばし、同じ月にはYouTuberが公開した動画が1か月足らずで800万回を超える再生数を記録しました。ショート動画プラットフォームでの拡散力の強さが、ミームの認知度を一気に押し上げる形になりました。面白いミームが広まる仕組みにも共通する特徴です。

この時期に人気が爆発した背景には、短い尺の中で「変化」という分かりやすい面白さを完結できるフォーマットの特性があります。加えて、既存の動画に対して新しいフェーズを付け足したり、独自の派生形式を作ったりする二次創作的な広がり方も、拡散スピードを後押ししました。

現在も新しい派生動画が作られ続けており、一時的な流行にとどまらず息の長いミームとして定着しています。

拡散の舞台となったのはTikTokやYouTubeだけではありません。Facebookなど別のSNSでも同時期に話題が広がったことが分かっており、プラットフォームをまたいで同じミームが並行して盛り上がるという近年のネットカルチャーらしい広がり方をしています。ひとつのSNSだけを見ていると流行の全体像を見誤りやすい点も、このミームの拡散パターンから読み取れる特徴です。

フェーズ(段階)とは何か

ミスターインクレディブルミームにおける「フェーズ」とは、キャラクターの表情や雰囲気が段階的に変化していく、それぞれの局面を指す言葉です。多くの動画では、フェーズ1が最も穏やかな通常の状態として描かれ、数字が進むごとに不気味さや違和感が強まっていく構成になっています。

フェーズごとの変化の図解

作品によってはフェーズが十段階以上に細分化されることもあり、制作者の個性が最も表れる部分でもあります。序盤はわずかな表情の変化にとどめ、終盤にかけて一気に姿を崩すことで緊張感を高める演出や、逆に早い段階から強い違和感を出して視聴者を驚かせる演出など、構成の工夫はさまざまです。

このフェーズという単位を理解しておくと、次に紹介する「Uncanny」や「Canny」といった種類ごとの違いも、より整理して捉えられるようになります。

視聴者の楽しみ方も、フェーズという構成があるからこそ生まれています。動画のコメント欄では「次のフェーズはこうなるはず」といった予想を書き込むファンも多く、変化の先を予測しながら見る楽しみ方が定着しています。あらかじめ結末が決まっている一本の動画というより、視聴者参加型のライブ感を持ったコンテンツとして受け止められている点も見逃せません。

また、フェーズを追う中で「どのフェーズがいちばん怖いか」「どのフェーズで笑ってしまったか」といった感想を交換し合う文化も根付いています。ひとつの動画に対する受け止め方が視聴者によって異なるからこそ、コメント欄での意見交換自体がコンテンツの一部として機能している側面があります。数字で区切られたフェーズという分かりやすい単位があることで、感想を言葉にしやすくなっている点も大きいといえます。

フェーズの数に決まったルールはありません。動画の尺や演出の狙いに合わせて、制作者ごとに段階の切り方を自由に設計できる点も、このミームが飽きられずに広がり続けている理由のひとつです。

ミスターインクレディブルミームの種類と広まり方

ここからは、ミームの中でも特に知られている種類ごとの特徴と、実際にどのように楽しまれているのかを紹介します。呼び方や方向性の違いを知っておくと、SNSで見かけた動画がどのパターンに当てはまるのか判断しやすくなります。似たようなキャラクターに見えても、タイトルに含まれる英単語ひとつで動画の雰囲気がまったく変わってくるため、あらかじめ代表的な種類を押さえておくと、初めて見る動画でも展開を予想しながら楽しめるようになります。

ミームの種類別の比較カード

不気味になるUncanny版の特徴

「Mr. Incredible Becoming Uncanny」は、名前が示す通り、フェーズが進むごとにキャラクターがどんどん不気味(アンキャニー)になっていく形式です。目の焦点がずれたり、肌の質感が生々しく崩れたりする表現が多く用いられ、最終フェーズでは原型をほとんど留めないほど姿が変化することも珍しくありません。

「不気味さを増していくミスター・インクレディブルの姿を、複数の場面に分けて描く動画ミーム形式」(海外の解説サイトの記述を要約)

BGMも同様に、穏やかな曲調から不協和音の目立つ重苦しい音楽へと変化していくため、視覚と聴覚の両方から緊張感が高まっていく点が最大の特徴です。ホラー要素を含みつつも、どこかコミカルな雰囲気も併せ持っているため、怖いけれど見てしまうという独特の中毒性を生み出しています。

数あるバリエーションの中でも、このUncanny形式は最も知名度が高く、ミーム全体の代表格として扱われることが多い種類です。

心理学の分野では、人間に近いのに微妙に違和感がある存在に対して抱く不快感を指す「不気味の谷」という考え方が知られています。Uncanny版のミームは、まさにこの感覚を意図的に映像で再現しているとも捉えられ、身近な現象を分かりやすく体感できるコンテンツとして紹介されることもあります。学術的な話題とネットミームが結びついている点も、このミームが単なる悪ふざけにとどまらない理由のひとつです。

穏やかになるCanny・Ascended版

Uncannyとは逆に、フェーズが進むごとにキャラクターが穏やかで理知的な表情に近づいていく形式が「Becoming Canny」や「Becoming Ascended」と呼ばれるバリエーションです。不気味さを強調するのではなく、安心感や高揚感を演出する方向に振り切っている点が大きな違いになります。

BGMも壮大なオーケストラ調の楽曲が使われることが多く、フェーズが進むにつれて音楽が盛り上がっていく構成は、まるで主人公が覚醒していく物語のクライマックスのような印象を与えます。ポジティブな話題や達成を表現したいときに好んで使われる傾向があり、Uncanny系とはまったく異なる用途で親しまれています。

同じキャラクター素材でありながら、方向性次第でここまで印象が変わるという点も、このミームの奥深さのひとつです。

使われる場面としては、資格試験に合格した報告や、長く続けてきた作業がようやく完成した瞬間など、努力が実った達成感を表現したいときにCanny・Ascended版が選ばれる傾向があります。Uncanny版が「悪化していく状況」を表すのに対して、Canny・Ascended版は「積み重ねが報われる瞬間」を表す、対照的な役割分担ができている点も面白いところです。

種類 変化の方向性 雰囲気
Becoming Uncanny 不気味・違和感が強まる ホラー寄り、緊張感が高い
Becoming Canny・Ascended 理知的・穏やかになる 高揚感、達成感がある
Becoming Old 年老いていく もの悲しさ、哀愁
Becoming Sad 悲しみが強まる 切なさ、感傷的
Becoming Scared 恐怖の表情が強まる 不安、パニック感

Old・Sad・Scared・Cute等の派生

ミスターインクレディブルミームには、Uncanny・Canny以外にも数多くの派生形式が存在します。年老いていく様子を描く「Becoming Old」、悲しみの表情に変化していく「Becoming Sad」、恐怖の表情が強まっていく「Becoming Scared」、逆に愛らしい表情へと変わっていく「Becoming Cute」など、テーマは多岐にわたります。2025年に流行しているネットミームにも、こうした派生スタイルの影響を受けたものが登場しています。

基本の構図やフェーズ分けの手法はそのままに、変化の方向性だけを差し替えることで、無数のバリエーションを生み出せる点がこのミームの強みです。学業や仕事、特定の出来事など、身近なテーマに置き換えて使われることも多く、キャラクター自体が一種の「テンプレート」として機能しています。

新しいバリエーションは現在も作られ続けており、時代や流行に合わせて表現の幅が広がり続けています。

こうした派生の広がり方は、インターネット文化における「テンプレートミーム」の典型例としても紹介されることがあります。ベースとなる構図が完成しているからこそ、誰でも自分なりのアレンジを加えやすいという性質は、他の人気ミームにも共通する広がり方のパターンです。ミスターインクレディブルミームは、その代表例として長く語られる存在になりつつあります。

SNS上では、こうした派生バリエーションを一覧にしてまとめる投稿も人気を集めています。どのバリエーションがいつ生まれ、どんな特徴を持っているのかを整理した解説動画やスレッドは、新しくミームを知った人にとっての入り口になっており、コミュニティ内で知識が共有される仕組みとしても機能しています。派生の多さそのものが、このミームの人気の証と受け止められている面もあります。

使用される曲・BGMの変遷

ミスターインクレディブルミームの完成度を大きく左右しているのが、フェーズごとに切り替わるBGMの選曲です。代表的な動画では、序盤に軽快な冒険曲が流れ、フェーズが進むにつれてゲーム音楽や映画のサウンドトラックなど、緊張感の高い楽曲へと段階的に切り替わっていく構成が定番になっています。

使用される曲の変遷図

例えば、映画音楽の高揚感のあるテーマから始まり、ロック調の楽曲、さらにはホラーゲームで使われるような重厚なオーケストラ曲へとつながっていく編集は、映像の変化とテンポを完全に一致させることで、見る人の緊張感を最大限に高める工夫がなされています。この選曲のセンスそのものが、視聴者から評価されるポイントになっているケースも少なくありません。

どの曲をどのタイミングで使うかによって動画の完成度が大きく変わるため、制作者ごとの個性が最も出やすい部分ともいえます。

ファンの間では、動画で流れている曲のタイトルを特定して当てる、いわば「曲当てクイズ」のような楽しみ方も定着しています。コメント欄で使用曲の一覧をまとめて共有する投稿が高く評価されることも多く、映像だけでなく音楽そのものへの関心を高める効果もこのミームは持っています。ゲーム音楽やサウンドトラックのファンが、このミームをきっかけに新しい楽曲と出会うケースも珍しくありません。

編集者の視点で見ると、曲の切り替えポイントを映像のカットとぴったり合わせる作業には、細かい調整が必要です。フェーズが切り替わる一瞬に合わせて音量やテンポを変化させるテクニックは、動画編集の技術としても参考にされることがあり、ミーム作品でありながら映像制作の勉強素材として扱われる場面も見られます。

選曲に使われる楽曲はゲームや映画のサウンドトラックが中心で、有名なタイトルの曲が使われることも珍しくありません。どの曲が使われているかを調べて楽しむファンもいるほど、選曲は重要な要素になっています。

日本での広まり方とTikTok

ミスターインクレディブルミームは、もともと英語圏のTikTokやYouTubeを中心に広まった形式ですが、日本国内でも動画共有サービスを通じて幅広く知られるようになりました。言語の壁がほとんどないビジュアル主体のミームであることが、国境を越えて広がった大きな理由のひとつです。

日本のユーザーの間では、既存の動画を視聴して楽しむだけでなく、専用のハッシュタグをつけて感想を共有したり、お気に入りのフェーズ動画を紹介し合ったりする楽しみ方が定着しています。派生作品を実際に作るユーザーもいますが、多くの場合は既存の作品を見比べて「どのフェーズが一番怖いか」「どの曲の切り替えが好みか」といった感想を交わす形で親しまれています。

動画の翻訳・字幕付き紹介を行うアカウントの存在も、日本での普及を後押ししました。英語圏の解説動画にはBGMの選曲や制作背景に関する情報が多く含まれているため、それらを日本語でかみ砕いて紹介するコンテンツが増えたことで、言葉の壁を越えて背景情報まで理解した上でミームを楽しむ層が広がっていきました。単に映像を消費するだけでなく、由来や制作意図まで知りたいというニーズに応える形で情報が整理されてきた経緯があります。

流行から数年が経過した今も新しい動画が投稿され続けており、息の長いネットカルチャーのひとつとして定着しつつあります。

日本のクリエイターの中には、既存のフェーズ構成をベースにしながら、日本国内で話題になっている出来事やキャラクターに置き換えたオリジナル版を投稿する例も見られます。海外発のフォーマットをそのまま消費するだけでなく、国内向けにローカライズして楽しむという動きは、近年のネットミーム全般に共通する受容のされ方であり、このミームもその代表的な事例のひとつになっています。

派生動画を作って共有する場合は、使用する画像や音源の著作権、各プラットフォームの利用規約を確認したうえで、個人が楽しむ範囲にとどめておくと安心です。

ミスターインクレディブルミームに関するよくある質問(FAQ)

Q1. ミスターインクレディブルミームの元ネタは何ですか

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A. 元ネタは2004年公開のピクサー映画『Mr.インクレディブル』の主人公です。ミームで使われている画像は、キャラクターの顔を切り抜いたファンアートを加工したもので、2020年10月にX(旧Twitter)へ投稿された一枚が最初のきっかけになったとされています。もともとの映画とは異なる文脈で広まった点が、このミームの大きな特徴です。映画自体はアカデミー賞を受賞するなど評価の高い作品で、ミームだけを知っていた人が後から原作を見て驚くケースも見られます。

Q2. フェーズとは具体的に何段階まであるのですか

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A. 動画によって段階数は異なり、フェーズ1から5〜6段階程度でまとめられているものもあれば、細かく分割して十段階以上に及ぶ作品もあります。段階数そのものよりも、通常の表情から徐々に変化していく構成そのものがこのミームの核となっています。制作者ごとに独自の解釈が加えられているため、同じフォーマットでも印象が大きく異なります。段階を細かく刻むほど変化がゆるやかになり、視聴者がじわじわと違和感を感じ取っていく演出になる傾向があります。

Q3. Becoming UncannyとBecoming Cannyの違いは何ですか

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A. Becoming Uncannyは、フェーズが進むごとに表情が不気味に崩れていく形式で、緊張感やホラー要素を強調します。一方のBecoming Canny・Ascendedは、逆に穏やかで理知的な表情へと近づいていく形式で、高揚感やポジティブな印象を演出します。同じキャラクター素材を使いながら、正反対の方向性を表現できる点が特徴です。動画のタイトルやサムネイルに使われている言葉を見れば、どちらの方向性の動画なのかを事前に判断しやすくなります。

Q4. このミームは自分でも作ることができますか

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A. 編集ソフトや無料のミーム作成アプリを使えば、既存のフェーズ画像を組み合わせて独自の動画を作ることも可能です。ただし、素材の著作権や各プラットフォームの利用規約を確認したうえで、個人が楽しむ範囲で使うようにしましょう。

まとめ|ミスターインクレディブルミーム

ここまで、ミスターインクレディブルミームの元ネタと誕生の経緯、Uncanny・Canny・Ascendedといった種類の違い、使われる曲やBGMの変遷、そして日本での広まり方について紹介しました。もとは映画のワンシーンを描いた一枚のイラストが、加工と共有を重ねる中で、フェーズという独自の表現形式を持つ大きなミーム文化へと育っていった流れが分かります。

2020年の一枚の投稿から始まり、Traumatized形式での人気化、フェーズという構成の確立、そしてTikTokでの爆発的な拡散という段階を経て、現在のような多彩なバリエーションを持つミームへと成長してきました。Uncanny・Canny・Ascended・Old・Sad・Scared・Cuteなど、方向性の違うバリエーションが共存していることこそが、このミームが数年にわたって飽きられずに親しまれ続けている理由といえます。

ミスターインクレディブルミームは、単に顔が変化していく動画というだけでなく、選曲や演出の工夫によって作り手の個性が表れる奥深いフォーマットです。元ネタの映画を知ってから改めて動画を見返すと、新しい発見があるかもしれません。動画を見比べながら、それぞれのフェーズや種類の違いを楽しんでみてください。