『ダンダダン』のなかでも、白く細長い体にブリーフ一丁という強烈な姿で登場する怪「邪視(じゃし)」は、読者の心をつかんで離さない存在です。見た目は恐ろしいのに、どこか切なくて愛おしい。そんな不思議な魅力から、「邪視の元ネタはいったい何なのか」と気になっている方も多いと思います。

結論からお伝えすると、邪視のモデルとして最有力とされているのは、ネット怪談「くねくね」です。さらに、掲示板発の都市伝説や、世界中に伝わる「邪眼」信仰も重なっているという見方が広がっています。ひとつの怪談だけでは説明できない奥行きがあるのです。

この記事では、邪視がどんな怪なのかという基本から、元ネタの考察、ジジ(円城寺仁)との関係、アニメでの登場回までを、ネタバレに配慮しながらやさしく整理していきます。読み終えるころには、邪視という怪の見え方がきっと変わっているはずです。

  • ダンダダンの邪視がどんな怪で、どんな能力を持つのか
  • 邪視の元ネタとして語られる「くねくね」や都市伝説の正体
  • 邪視とジジの関係や、人気を集める理由
  • アニメ第2期での登場回と担当声優

それでは、邪視の正体と元ネタを順番にたどっていきます。

ダンダダン「邪視」とは?正体と作中での役割

元ネタ考察に入る前に、まずは邪視がどんな怪なのかを押さえておくと、元ネタの話がぐっと分かりやすくなります。ここでは能力や正体、悲しい過去、デザイン、アニメでの扱いまでを順に整理していきます。

邪視とはどんな怪物なのか

邪視は、オカルティックな怪異と戦う人気漫画『ダンダダン』に登場する怪の一体です。読み方は「じゃし」で、邪悪な視線を意味する「邪眼」がその名の由来になっています。数ある敵役のなかでも、とりわけ話題を集めた存在です。

そもそも『ダンダダン』は、幽霊を信じる少女モモと、宇宙人を信じるオタク少年オカルンが、怪奇現象に巻き込まれていく物語です。妖怪も宇宙人も入り乱れる世界のなかで、邪視は「妖怪側」の象徴的な怪として描かれ、読者に強烈なインパクトを残しました。

なぜここまで注目されるのかというと、ひとつはその見た目のインパクトにあります。白っぽく細長いフォルムに、なぜかブリーフ一丁という姿。恐ろしさと滑稽さが同居した独特のデザインが、一度見たら忘れられない印象を残すからです。

たとえば作中では、モモの初恋の相手であるジジ(円城寺仁)に関わる存在として登場し、物語を大きく動かしていきます。恐怖の対象でありながら、読み進めるうちに見方が変わっていく点も、ほかの敵役とは一線を画しています。

「怖い妖怪なのに、どこか憎めない」。このギャップこそが、邪視というキャラクターの出発点だと私は思います。まずは、不気味さと親しみやすさをあわせ持つ怪として覚えておくと、このあとの元ネタの話がすっと入ってきます。

邪視の基本データ一覧表
項目 内容
名称 邪視(じゃし)
作品 ダンダダン(原作・龍幸伸/少年ジャンプ+連載)
能力 目を見た相手を憎悪と呪いで侵す「邪眼」
関わる人物 ジジ(円城寺仁)
アニメ登場 第2期・第14話「邪視」

邪視の能力「邪眼」で相手が壊れる仕組み

邪視の怖さの核心は、なんといっても「目(視線)」そのものが武器だという点にあります。邪視と目を合わせてしまった者は、強烈な憎悪と呪いを一気に流し込まれてしまいます。

その理由は、邪視が持つ「邪眼」と呼ばれる力にあります。視線を受けた相手は精神に直接干渉され、自殺願望に取り憑かれたり、正気を失ったりしてしまうとされています。物理的に殴られるわけではないのに、見ただけで心を壊されるという不気味さが、読者の恐怖を強くかき立てます。銃や刃物よりも、ただの視線のほうが怖いという逆転の発想が効いているのです。

具体的には、邪視の目を見た人物が錯乱していく描写が作中で描かれます。一方で、念波を打ち消すような力も併せ持っており、正面からぶつかるだけでは倒しにくい、単なる攻撃役にとどまらない厄介さを備えています。

「ただ睨むだけでそんなに怖いのか」と感じる方もいるかもしれません。けれど、視線そのものが攻撃になるという発想は、後で触れる元ネタの怪談とも深くつながっています。目を見なければ影響を受けにくいという弱点もあり、登場人物たちが視線を避けながら立ち回る緊張感が、このバトルの醍醐味になっています。だからこそ邪視は、派手さとは別の意味でとびきり危険な怪なのです。

視線そのものが凶器になるという設定は、力と力のぶつかり合いが多いバトル作品のなかでは珍しく、それだけで邪視を記憶に残る相手にしています。正面から見据えれば危ないのに、見なければ相手の動きも分からない。この「見たいのに見てはいけない」というジレンマが、読者の緊張を途切れさせません。恐怖の質そのものが、ほかの敵とは一味違うのです。

邪眼で精神が壊れる流れの図

邪視の正体とジジ(円城寺仁)の関係

邪視を語るうえで外せないのが、ジジ(円城寺仁)との関係です。邪視は、ジジの前に現れ、その体を乗っ取ろうとする存在として描かれます。物語の中盤を大きく動かす、重要な因縁です。

なぜジジなのかというと、邪視はある土地に長く縛られていた怪であり、そこに関わったジジが影響を強く受けてしまったからです。ジジはヒロインであるモモの初恋の相手という重要な立ち位置にあり、その彼が邪視に取り込まれていく展開は、モモやオカルンの関係にも波紋を広げ、物語に大きな緊張をもたらします。

たとえば、邪視に関わる家や土地には不穏な因縁が漂っており、そこを訪れた登場人物たちが次々と怪異に巻き込まれていきます。邪視は単独で暴れる化け物というより、土地の記憶や過去と固く結びついた存在として描かれている点が特徴です。場所そのものに宿った怨念のような怖さがあります。

「取り憑かれたジジはどうなってしまうのか」と、読者はハラハラさせられます。ここから先の詳しい結末は、これから読む方の楽しみのために伏せておきます。ただ、邪視とジジの関係が、恐怖だけで終わらない深いドラマにつながっていくことは、先に伝えておきたいところです。そしてその鍵を握るのが、次に触れる邪視の過去です。

読者としては、ジジを心配するモモの視点に自然と寄り添うことになります。大切な人が得体の知れない怪に少しずつ侵されていく。その緊張感が、邪視戦をただのバトルではなく、登場人物たちの想いがぶつかり合う人間ドラマへと引き上げています。だからこそ、邪視の正体が明かされていく過程を、読者は固唾をのんで見守ってしまうのです。

何百年もの孤独と救いの物語

邪視が多くの読者の心をつかんだ最大の理由は、その悲しい過去にあると私は思います。邪視は、何百年ものあいだ、たったひとりで閉じ込められてきた存在として描かれます。

なぜ人気につながったのかというと、恐ろしい怪の内側にある孤独が丁寧に描かれているからです。ただ退治すべき敵ではなく、長い時間ひとりぼっちで苦しんできた者として提示されることで、読者の感情は大きく揺さぶられます。怖いはずの相手に、いつのまにか同情してしまうのです。

具体的には、邪視の過去を知ったジジが、その恐ろしい姿の怪に寄り添い、いっしょに過ごそうと歩み寄る場面が描かれます。「ひとりじゃないよ」と差し出される手が、長く閉ざされていた心をほどいていく。呪いが少しずつ癒やしへ、怪異が仲間へと変わっていく流れは、『ダンダダン』という作品が持つ“救済”の物語性を象徴しています。

もちろん、邪視がしてきたことが帳消しになるわけではありません。それでも、怖い存在を怖いまま終わらせない。この温かいまなざしこそ、邪視というキャラクターが長く愛される理由だと感じます。恐怖と優しさが同居しているからこそ、このあとの元ネタ探しも、ただの謎解き以上に味わい深いものになります。

何百年もの孤独という設定が、なぜこれほど読者の胸を打つのか。それは、現代を生きる私たちが抱える「ひとりぼっちの不安」と、どこかで重なるからだと思います。姿は怪物でも、理解されずに閉じ込められてきた痛みは、人の心に通じるものがあります。邪視が流す見えない涙に、自分を重ねて泣いたという声も少なくありません。

ブリーフ姿やフォルムという特徴的なデザイン

邪視を語るとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、やはりブリーフ一丁という独特の姿です。恐ろしい怪でありながら、どこか間が抜けて見えるこのデザインが、強烈な個性を生んでいます。

このビジュアルが効いている理由は、恐怖とコミカルのギャップにあります。心を壊すほど危険な能力を持つのに、見た目はどこか憎めない。その落差が読者の印象に深く刻まれ、ファンのあいだで「かわいい」と評されることさえあります。怖さと笑いを同時に呼び起こす、不思議なキャラクターなのです。

たとえば、細長く不気味なフォルムは後述するくねくね伝説を思わせる一方で、ブリーフ姿は作品特有のユーモアを強く感じさせます。ホラーとギャグを一つのコマのなかで自在に行き来する『ダンダダン』らしさが、このキャラクターに凝縮されていると感じます。怖がらせながら笑わせる、その緩急が作品全体の魅力でもあります。

なぜブリーフなのかという明確な理由は、公式には語られていません。だからこそ読者の想像がふくらみ、コスプレやイラストの題材としても親しまれています。この絶妙なさじ加減こそが邪視の魅力を底上げしており、読者が深い愛着を持つ大きな要因になっています。

実際、ファンのあいだでは「怖可愛い」と評され、イラストやコスプレ、グッズの題材としても高い人気を集めています。恐ろしい能力を知っているからこそ、どこか抜けた見た目とのギャップがより愛おしく映るのです。敵役でありながら多くの人に愛される。この立ち位置は、邪視が単なる一話限りの怪ではなく、作品を代表するキャラクターへと育っていったことをよく表しています。

アニメ第2期での登場回と声優

邪視の活躍を映像で見たい方に向けて、アニメでの扱いも整理しておきます。邪視が本格的に描かれるのは、テレビアニメ『ダンダダン』第2期です。原作の山場を、映像ならではの迫力で味わえます。

第2期は2025年7月から放送され、邪視が登場するのは第14話(第2期としては第2話)「邪視」です。制作は第1期から続投するサイエンスSARUが手がけ、原作で描かれた不気味さや禍々しさが、映像と音で見事に再現されています。独特の色づかいと動きで、原作ファンからも高い評価を集めました。

声の面では、邪視を田村睦心さん、ジジ(円城寺仁)を石川界人さんが演じています。恐怖の場面と切ない場面のどちらも声の力で引き立てられており、キャラクターの二面性がより鮮明に伝わってきます。原作の雰囲気をそのまま楽しみたい方は、TVアニメ『ダンダダン』公式サイトで放送・配信情報を確認すると安心です。

原作は龍幸伸さんによる作品で、累計発行部数は1000万部を超え、第3期の2027年放送も決定しています。邪視のエピソードから作品に興味を持った方は、少年ジャンプ+のダンダダン第1話から物語の空気に触れてみるのもおすすめです。映像と原作を見比べると、邪視の魅力がいっそう深く感じられます。

放送時には、邪視の不気味な動きや、ジジとの切ない場面がSNSで大きな話題になりました。「怖いのに泣けた」という感想が数多く寄せられ、邪視は第2期を象徴する存在として一気に知名度を高めました。映像ならではの間や音の演出が、原作の読後感をそのまま、あるいはそれ以上に届けてくれたのです。

ダンダダン邪視の元ネタを徹底考察

ここからが本題です。邪視のモデルは何なのか。最有力とされるネット怪談「くねくね」を軸に、掲示板発の都市伝説、そして世界中に伝わる邪眼信仰まで、順番に見ていきます。重なり合う複数の元ネタをほどいていきましょう。

邪視の元ネタ相関図

最有力の元ネタとされる怪談「くねくね」

邪視の元ネタとして、もっとも有力だとされているのが、ネット怪談の「くねくね」です。細長いフォルムと、見た者の精神を壊す性質が、驚くほど一致しているからです。

なぜ一致していると語られるのかというと、くねくねは「白く細長い人型の何かが、田んぼや川辺でくねくねと身体を揺らしている」という怪談で、その正体を理解した者は精神に異常をきたすと言い伝えられているからです。邪視が持つ“視覚による精神汚染”とまさに重なります。姿だけでなく、怖さの仕組みまでそっくりなのです。

具体的には、遠くでくねくねと動く白い影を双眼鏡などでのぞき込み、正体を知ってしまった人が壊れてしまう、という語り口がよく知られています。「近づかなければ平気だが、確かめようとすると危ない」という距離感の怖さが、邪視の「目を見なければ助かる」という設定とも響き合います。姿も能力も近いことから、ファンのあいだでは「くねくねの正体は邪視だったのでは」とまで語られるほどです。

もちろん公式が「邪視=くねくね」と断言しているわけではありません。それでも、ここまで特徴が重なると、くねくねを下敷きにしていると見る人が多いのも自然なことだと思います。まずはこの説を、元ネタ考察の出発点として押さえておきましょう。

くねくねは、ホラーを好む人のあいだでは「名前を知らない人のほうが少ない」ほど有名な怪談です。それだけ浸透した存在を土台にすることで、邪視は初登場の時点から、言葉にしづらい既視感と不気味さをまとっていました。元ネタの知名度が、そのままキャラクターの怖さの後ろ盾になっている好例だと思います。

怪談くねくねの基本情報表

「くねくね」とは、白く細長い人型の存在が田んぼや川辺に現れ、くねくねと身体を揺らしているとされる都市伝説で、その正体を知ると精神に異常をきたすと語られています。

くねくねが広まった2ちゃんねる発祥の流れ

元ネタをより深く知るために、そもそもくねくねがどこから生まれたのかもたどっておきます。くねくねの原点とされているのは、インターネット掲示板「2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)」への書き込みです。

なぜネット発の怪談が全国に広まったのかというと、2003年ごろにオカルト板へ投稿された、ある体験談形式の書き込みがきっかけだったからです。「親戚の田んぼで白いものが揺れていた」「それを見た弟の様子がおかしくなった」という語りが、読む人の想像力を強く刺激しました。特定の作者がいない分、誰の身にも起こりうる話として受け取られたのです。

具体的には、この投稿が共感と恐怖を呼んで爆発的に拡散し、やがて「八尺様」などと並ぶ日本を代表するネット怪談のひとつとして定着していきました。誰かの実体験のように淡々と語られる形式が、作り物めいた派手さをそぎ落とし、リアリティと怖さを何倍にも高めたのです。夏の田舎という身近な舞台も、恐怖を自分ごとに感じさせました。

こうした「掲示板から生まれて広がった怖い話」という背景は、ほかの都市伝説にも共通します。たとえば有名キャラクターにまつわる怖い噂を追ったウォーリーの都市伝説はなぜ怖いのかを調べた記事と読み比べると、ネット怪談が広まる仕組みが見えてきます。邪視もまた、この「ネット怪談の系譜」の上に立っているのです。

誰が言い出したのか分からないまま、人から人へと語り継がれていく。それがネット怪談の怖さであり、面白さでもあります。くねくねのように「正体が分からない」からこそ、私たちの想像力は際限なくふくらみます。邪視が読者をここまで惹きつけるのも、元をたどれば、この「分からなさを楽しむ」文化が下地にあるからだと感じます。

くねくねの正体をめぐる諸説

くねくね自体の正体も、はっきりとは分かっていません。実在するのかどうかも不明で、だからこそ邪視の元ネタとしての不気味さがいっそう際立ちます。とはいえ、現実的な説明を試みる説はいくつも語られてきました。

よく挙げられるのが、自然現象の見間違いという説です。夏の強い日差しで地面の空気がゆらめく陽炎(かげろう)を、遠くの田んぼに立つ案山子(かかし)と重ねて見てしまい、白い人影が揺れているように錯覚したのではないか、という見方です。熱中症でもうろうとした状態だったという指摘も添えられます。

ほかにも、水辺で起こる蜃気楼によって、自分自身の姿が遠くにゆがんで映し出され、それを別の何かと見間違えたという説もあります。さらに変わったところでは、映画『ターミネーター2』に登場する液体金属の敵T-1000が元ネタではないか、という遊び心のある説まで飛び出しました。

どの説も決め手に欠けますが、正体が定まらないという事実こそが、くねくねを長く語り継がせてきた原動力です。作中の邪視もまた、すべてを説明しきらないからこそ怖い。この「分からなさ」を共有している点も、両者を重ねて見たくなる理由のひとつだと思います。

2ch発の都市伝説「邪視」との共通点

元ネタ考察で見落とせないのが、くねくねとは別に存在する「邪視」という都市伝説です。実は、2ちゃんねるのオカルト板には、その名も「邪視」という怪異の話が投稿されていました。名前がそのまま同じという点が、見逃せない手がかりになります。

なぜこれが重要なのかというと、能力やビジュアルが作中の邪視とよく似ているうえ、名前までそのまま一致しているからです。名称が同じである以上、偶然と片づけるより、こちらも元ネタのひとつと見るほうが無理がありません。作者が掲示板の怪談に目を通していた可能性も、十分に想像できます。

ネット怪談は、ひとつの話が別の話とまじり合いながら広がっていく性質を持っています。くねくねと、この「邪視」の伝説も、語られるうちに互いの要素を取り込んでいたのかもしれません。そうした掲示板文化の土壌があったからこそ、作中の邪視は「どこかで聞いたことがある怖さ」として、すっと読者の記憶に入り込めたのだと思います。

具体的には、この掲示板発の邪視も「目(視線)によって人を狂わせる」という性質を持つと語られており、作中の邪視が持つ邪眼の力と重なります。つまり作中の邪視は、くねくねの“細長い姿”と、この都市伝説の“名前と能力”が合わさって生まれた可能性が見えてきます。別々の怪談から、いいとこ取りをするように組み上げられているのです。

ひとつの怪談だけでなく、複数のネット怪異が折り重なっている。そう考えると、邪視という存在の厚みがより深く感じられます。作者が実在の怖い話を巧みに編み込んでいる点こそ、ファンの考察が尽きない理由になっています。

世界に伝わる「邪視(邪眼・魔眼)」信仰

さらに視野を広げると、「邪視」という言葉そのものが世界的な民間伝承だという事実にたどり着きます。邪視は邪眼や魔眼とも呼ばれ、悪意を持った視線が相手に呪いや災いをもたらすという考え方を指します。

なぜこの信仰が元ネタ考察に関わるのかというと、「視線が人を害する」という発想が、作中の邪視の能力と本質的に同じだからです。古くから世界各地で信じられてきた恐怖が、現代の漫画のなかでよみがえっていると見ることができます。ネット怪談という新しい器に、古い信仰が流れ込んでいるようにも感じられます。

具体的には、この信仰は地中海地域や中近東、南アジア、ヨーロッパ、中国など広い範囲に分布しており、邪視によって人が病気になり、衰弱し、死に至ることさえあると考える文化もあります。防御のために、トルコの青い目の形をした護符「ナザール・ボンジュウ」や、イタリアの指で角を作る仕草「コルナ」などが用いられてきました。くわしくはWikipediaの「邪視」の解説が参考になります。

作中の怪に、世界共通の古い恐怖の名が与えられている。この重なりを知ると、邪視がただの思いつきではなく、深い下調べのうえで生まれたキャラクターだと実感できます。異形の存在に思想や伝承を重ねる手法は、デカグラマトンの元ネタをカバラ思想から考察した記事とも通じるところがあります。一体の怪の背後に、これほどの文脈が広がっているのです。

興味深いのは、日本のネット怪談と、世界の古い信仰が、「視線の恐怖」という一点で自然につながっている点です。時代も場所も違う人々が、同じように「見られること」「見てしまうこと」を恐れてきました。邪視というキャラクターは、その普遍的な恐怖をすくい上げているからこそ、国や世代を越えて多くの人の心に刺さるのだと感じます。

なぜ邪視の元ネタ考察はこれほど盛り上がるのか

ここまで見てきたように、邪視の元ネタは一本道ではありません。複数の怪異や信仰が重なり合っているからこそ、ファンのあいだで考察が尽きないのです。

その背景には、『ダンダダン』という作品の作り方があります。この漫画は、実在する都市伝説やUMA、オカルトを下敷きにして物語を編む魅力を持っており、読者が「これのモデルは何だろう」と探す楽しみが最初から用意されています。邪視はその代表格といえる存在で、調べれば調べるほど新しい手がかりが出てきます。

具体的には、公式がすべての元ネタを明言しないことで、読者それぞれが怪談を調べ、仮説を語り合う余白が生まれています。くねくね説、都市伝説「邪視」説、世界の邪眼信仰説と、どれも一理あるからこそ、SNSや考察サイトでの議論が長く続くのです。答えがひとつに定まらないことが、むしろ楽しさを生んでいます。

作品に登場する妖怪や怪異には、こうした元ネタがしばしば隠されています。たとえば別の妖怪キャラの由来を掘り下げた斑妖怪の元ネタを解説した記事も、同じ視点で読むと新しい発見があります。元ネタを知ると、物語の怖さと面白さが何倍にもふくらみ、二度目に読むときの解像度がまるで変わってきます。

『ダンダダン』には、邪視のほかにも、口裂け女や一反木綿、宇宙人といった実在の都市伝説やUMAを思わせる存在が数多く登場します。「あの怪のモデルは何だろう」と調べること自体が、この作品ならではの楽しみ方になっています。邪視の元ネタ探しをきっかけに、ほかのキャラクターの由来にも目を向けてみると、作品世界はいっそう豊かに見えてくるはずです。

まとめ|ダンダダン邪視の元ネタと正体を振り返る

最後に、ダンダダンの邪視の元ネタを振り返ります。最有力とされるのはネット怪談「くねくね」で、細長い姿と視覚で精神を壊す能力がよく似ています。

さらに、掲示板発の都市伝説「邪視」とは名前や能力が一致し、世界中に伝わる邪眼(魔眼)信仰とも重なります。邪視は、ひとつの怪談ではなく、いくつもの恐怖が折り重なって生まれたと見るのが、現時点での有力な考え方です。下の表に、作中の邪視とくねくねの共通点と違いをまとめておきます。

観点 ダンダダンの邪視 怪談「くねくね」
姿 白く細長い怪(ブリーフ姿) 白く細長い人型
怖さの源 目を見ると呪われる 正体を知ると精神が壊れる
舞台 因縁のある土地・家 田んぼや川辺
正体 孤独を抱えた怪として描かれる 不明(諸説あり)

そして正体は、何百年もの孤独を抱え、ジジとの出会いによって救いへと向かう切ない怪でした。恐怖と優しさが同居しているからこそ、邪視は強く愛されています。元ネタを知ったうえで原作やアニメを見返すと、一つひとつの場面がより深く胸に響くはずです。ぜひあなたの目で、邪視の物語を確かめてみてください。

ひとつの怪の背後に、ネット怪談も、古い信仰も、そして深い人間ドラマも潜んでいる。邪視という存在は、『ダンダダン』という作品の魅力そのものを凝縮していると感じます。元ネタを入り口にして物語へ足を踏み入れれば、怖さの奥にある優しさにきっと出会えます。この記事が、あなたの「邪視の元ネタ探し」の道しるべになればうれしいです。

ダンダダンの邪視に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 邪視はくねくねと同じ存在なのですか?

A. 公式に「邪視=くねくね」と明言されているわけではありません。ただし、白く細長いフォルムや、見た者の精神を壊すという能力がよく似ているため、くねくねが最有力の元ネタだとする見方が広がっています。さらに2ちゃんねる発の都市伝説「邪視」や、世界に伝わる邪眼信仰も重なっているとされ、複数の怪談が折り重なって生まれた怪だと考える人が多いようです。断定はできませんが、手がかりの多さそのものが魅力になっています。

Q2. 邪視はなぜブリーフを履いているのですか?

A. 明確な理由は公式には語られていません。恐ろしい能力とコミカルな見た目のギャップを生み、読者に強い印象と親しみを与えるデザインになっている、という受け止め方が一般的です。怖いだけの怪にしないことで、のちに描かれる切ない過去とのふり幅も大きくなります。結果として、コスプレやファンアートの題材にも選ばれやすく、キャラクター人気を押し上げる一因になっています。

Q3. 邪視はアニメの何話で見られますか?

A. テレビアニメ第2期(2025年7月放送開始)の第14話、第2期としては第2話にあたる、その名も「邪視」という回で本格的に描かれます。制作はサイエンスSARUが続投し、原作の不気味な雰囲気が色づかいや動きまで含めて丁寧に映像化されています。配信でも視聴できるので、原作で邪視の登場シーンを読んだうえで映像と見比べると、怖さと切なさの両面がより深く伝わってきます。

Q4. 邪視とジジはその後どうなるのですか?

A. 核心部分はこれから読む方のために伏せますが、ジジが邪視の孤独な過去を知り、恐ろしい姿の怪に寄り添っていく展開が描かれます。何百年もひとりきりだった存在に手を差し伸べる場面は、多くの読者の涙を誘いました。恐怖だけで終わらない“救済”の物語として、その結末はぜひ原作やアニメでご自身の目で見届けてみてください。

Q5. 邪視やジジの声優は誰ですか?

A. アニメ第2期では、邪視を田村睦心さん、ジジ(円城寺仁)を石川界人さんが演じています。低く響く邪視の声と、まっすぐで優しいジジの声の対比が、ふたりの関係の変化をより鮮やかに伝えてくれます。恐怖と切なさの両面を声の演技が見事に支えており、映像で見ると邪視というキャラクターの印象がいっそう強く残ります。