「呪術廻戦」の作中で登場した呪霊操術の極ノ番「うずまき」。その元ネタが何かを気にしている方は多いのではないでしょうか。実はこの技には、日本ホラー漫画界の巨匠が描いたある名作が深く関係しているのです。
掲載当時はオマージュかパクリかという議論まで巻き起こり、ファンの間で大きな話題になった経緯があります。その後の修正対応や作者同士のやり取りまで含めると、単なる元ネタ解説を超えたドラマが存在したと言えそうです。
この記事では、呪術廻戦のうずまきの元ネタとされる作品の概要から、134話で初登場した経緯、コミックス16巻での修正、伊藤潤二先生との関係性まで、流れを丁寧にまとめていきます。
- うずまきの元ネタとされる伊藤潤二の名作ホラー漫画
- 呪術廻戦134話で偽夏油が解放した極ノ番の背景
- パクリ騒動と16巻修正までの一連の流れ
- アニメ渋谷事変編での描写と読者の反応
順番に整理していきますので、気になる項目から読み進めてみてください。
目次
呪術廻戦のうずまきの元ネタは伊藤潤二の漫画
呪術廻戦のうずまきの元ネタは、ホラー漫画家・伊藤潤二の代表作『うずまき』だと広く認識されています。週刊少年ジャンプの連載時点で読者の間に「あの場面はもしかして」という気づきが広がり、SNSを中心に話題が拡散しました。
ここでは作品の基本情報、呪術廻戦本編での初登場の流れ、夏油傑(実際は偽夏油)が解放した極ノ番のスケール感、そして二つの作品で重なる象徴的な描写まで、五つのH3に分けて整理していきます。
伊藤潤二の名作ホラー「うずまき」の概要
伊藤潤二の『うずまき』は、1998年から1999年にかけて『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載されたホラー漫画で、単行本は全3巻で完結しています。物語の舞台は黒渦町(くろうずまち)と呼ばれる架空の町で、女子高生・五島桐絵を主人公に据えた長編作品です。
町には突然、つむじ風が舞い、草木の枝葉がとぐろを巻き、火葬場の煙が渦を描いて立ち上る、といった異変が連続して発生します。やがて住人たちまでもが「うずまき」に取り憑かれ、髪の毛が螺旋を描いて自立したり、身体がねじれていったり、最終的にはカタツムリへと変身していくのです。
うずまきという形そのものが「呪い」として人間を蝕んでいくという独特のホラー観で、読者に強烈な印象を残しました。伊藤潤二作品らしい繊細な描線と、日常の何気ないモチーフを恐怖の対象に変える発想が高く評価されています。
2024年には米国Adult Swim制作で待望のアニメ化が実現し、海外でも改めて注目を集めました。発表から完成までかなりの年数を経たことでも知られ、原作ファンが長く待ち望んでいたプロジェクトとして話題を呼んだ作品です。
原作の『うずまき』は単行本3巻に加えて、後年さまざまな形式で復刻・再収録が行われており、書店の棚で長く読み継がれている定番作品の一つです。映像化や舞台化もこれまで複数回実現していて、ホラー漫画の代表格として日本国内外のクリエイターから繰り返しオマージュの対象に選ばれてきた点も見逃せません。
『うずまき』は短編連作のような構成で、各エピソードが緩やかに繋がりながら町全体の崩壊を描き出すスタイルが特徴です。
134話で初登場した呪霊操術の極ノ番
呪術廻戦本編で「うずまき」が登場するのは、コミックス16巻に収録されている第134話「渋谷事変51」です。渋谷事変編のクライマックス付近で繰り出された一撃で、ストーリー上きわめて重要な場面に位置づけられています。
この技は呪霊操術の最終奥義「極ノ番(ごくのばん)」と呼ばれるもので、夏油傑が生前から温めていたとされる切り札です。作中では、複数の呪霊を一つに圧縮し、超高濃度の呪力として解き放つ技と説明されています。
134話の段階で読者がまず驚いたのは、その演出の異質さでした。それまでの呪術廻戦の戦闘描写と比べても、人体が螺旋に巻き取られていくような独特の絵作りが強烈で、明らかに他作品の影響を受けたビジュアルと感じた読者が少なくなかったのです。
1級以上の呪霊に対して使用すると、相手から「術式の抽出」が可能になるという特殊効果も明かされ、能力面でも物語のキー要素になっています。後の章でこの抽出機能が伏線として効いてくる展開もあり、単なる派手な大技にとどまらない設定の深さが評価されました。
偽夏油傑が解放した最強の奥義
うずまきを使用したのは、見た目こそ夏油傑そのものですが、実体は別人格である「偽夏油」です。本編が進むにつれて、この偽夏油の正体は加茂憲倫を始めとする複数の名前を持つ存在であることが明かされていきます。
偽夏油は、生前の夏油傑が身体に取り込んだ大量の呪霊を、そのまま自分の手駒として活用できる立場にあります。呪霊操術と相性の良い宿主の身体を奪うことで、長い年月をかけて準備してきた切り札がうずまきだと考えると、技の重みが一段と理解しやすくなります。
渋谷事変では、五条悟を獄門疆に封じた直後に状況がさらに動き、決着を急ぐ局面で極ノ番が放たれます。物語の構造として、五条悟という最大の戦力が消えた直後に最大級の技を見せる構成は、読者の緊張感を最高潮まで引き上げる狙いがあったと考えられます。
| 項目 | 呪術廻戦のうずまき | 伊藤潤二のうずまき |
|---|---|---|
| 登場作品 | 呪術廻戦 第134話 | うずまき(小学館) |
| 連載開始時期 | 2018年 | 1998年 |
| 使い手・主人公 | 偽夏油傑 | 五島桐絵 |
| 螺旋の意味合い | 呪霊圧縮の奥義 | 町を蝕む呪い |
同じ「うずまき」というモチーフでも、ストーリー上の役割が大きく異なる点が興味深いところです。
二つの作品で重なる印象的な描写
134話の描写と伊藤潤二『うずまき』の有名な一場面の類似は、特に「身体が螺旋状に巻き取られた人間」の絵で顕著です。原作の『うずまき』には、洗濯機に巻き込まれるように人体が渦を描いて変形してしまう男性の場面があり、呪術廻戦134話に登場した犠牲者の絵がそのモチーフを彷彿とさせると指摘されました。
当時のSNSや漫画考察サイトでは、二つの場面を並べて比較する画像が拡散され、「これは伊藤潤二リスペクトに違いない」「ここまで似ていると逆にオマージュ宣言だろう」といった反応が次々に投稿されたのです。
呪術廻戦は、もともとホラー要素や民俗学的なモチーフを多用する作風で知られています。伊藤潤二作品との親和性は高く、芥見下々先生がホラー漫画から強い影響を受けていることはインタビューでも度々語られている点です。
結果的にこの場面は、単なる絵の引用にとどまらず、呪霊操術の不気味さや渋谷事変の絶望的な空気感を強調するための演出として機能しました。読者がページを開いた瞬間に背筋が冷えるような効果があり、その印象の強さこそが議論を生んだ理由とも言えそうです。
伊藤潤二先生も認めた公認オマージュ
パクリ疑惑が話題になっていた最中、伊藤潤二先生本人がX(旧Twitter)上で関連投稿に「いいね」を付けていたことがファンの間で発見されました。直接的な発言ではないものの、当事者である伊藤先生が肯定的な反応を示したと受け取られ、議論の流れが大きく変わるきっかけになりました。
その後、コミックス16巻の発売に合わせて事態は正式に動きます。芥見先生が伊藤先生本人に連絡を取り、事後的に許諾を得たうえでコミックス収録時にデザインを修正する、という形で決着が図られました。
結果として、呪術廻戦のうずまきは伊藤潤二作品への正式なオマージュとして位置づけられることになります。多忙な週刊連載の現場で、後追いになりながらも作家同士が誠実にやり取りした事例として、ファンや業界関係者から好意的に受け止められました。
作家同士が直接コンタクトを取り、敬意を伝えた上で関係を整える形は、商業漫画におけるオマージュ処理の理想的な流れの一つと言えます。
呪術廻戦うずまきをめぐるパクリ騒動と修正の真相
うずまきが話題になった理由は、ビジュアルの強烈さだけではありません。掲載直後から「これは引用なのか盗用なのか」という議論が広がり、読者・ファン・業界関係者を巻き込む形で熱を帯びていきました。
このセクションでは、騒動の発生から16巻での修正、芥見先生のコメント、オマージュとパクリの線引き、アニメ渋谷事変での描写、そして全体のまとめまで、流れを順に追っていきます。
ジャンプ掲載時に起きたネット上での議論
134話が週刊少年ジャンプに掲載された直後、X(旧Twitter)や5ちゃんねるなどの掲示板では「これは伊藤潤二のうずまきでは」という指摘が一気に広がりました。比較画像とともに投稿される考察スレッドは、短時間で多くの反応を集めます。
議論の中心は、「許諾を取った正式なオマージュなのか」「無断使用に近い形のパクリなのか」という点でした。漫画読みのファンからすると、伊藤潤二作品の存在感は大きく、見過ごせないほど明確な類似だと感じる層が一定数いたわけです。
一方で、芥見下々先生が他作品からの影響を作中で随所に活かしていることは知られていたため、「これは作家らしいリスペクトの表現だろう」と肯定的に捉える読者も少なくありませんでした。両者の意見が交錯する中で、決定的な情報が出るまではモヤモヤとした状態が続いた印象です。
少年ジャンプ+などの公式プラットフォームでも本編が読める環境が整っていたこともあり、呪術廻戦の連載状況と合わせて、リアルタイムで議論が盛り上がる土壌があったといえます。
16巻で行われたうずまきの絵柄修正
2021年6月4日に発売された呪術廻戦コミックス16巻では、134話のうずまきの一部描写が大きく修正されました。週刊掲載時にあった「螺旋に巻き取られた人体の構図」が、より独自性のあるデザインへと描き直されたのです。
具体的には、伊藤潤二『うずまき』の有名なコマを連想させる構図が緩和され、呪術廻戦の世界観の中で違和感が出ない形にリデザインされました。コミックス収録時のリテイクは商業漫画ではよくある工程ですが、ここまで明確な意図を持った差し替えは珍しいケースとして注目されています。
修正の事実が発表された際、ジャンプ本誌で読んでいた読者の中には「あの強烈な絵が変わってしまった」と惜しむ声もありました。一方で、コミックスから入る読者層に向けて、不要な議論を避ける選択をした判断は妥当だと評価する意見も多く見られます。
うずまきの修正は、呪術廻戦という作品が長く読み継がれる単行本として残ることを意識した、出版社・編集部・作家の連携によるアウトプットだと言えます。修正版は単行本だけでなく電子書籍にも反映されているため、現在新規に呪術廻戦を読み始めた読者は、基本的に修正後の絵柄に触れることになります。
芥見下々先生によるおまけページの言及
16巻のおまけページには、芥見下々先生本人による短いコメントが収録されています。そこでは、「週刊連載のスピードで後出しになったにもかかわらず、許してもらった」という主旨の感謝の言葉が綴られていました。
このコメントによって、ジャンプ掲載時点では伊藤潤二先生から正式な許諾を得ていなかったこと、後になって芥見先生側から連絡を取り、了承を取り付けたことが公式に明らかになります。読者にとっては騒動の経緯を作家本人の言葉で確認できる重要な情報源となりました。
同時に、芥見先生のコメントからは「自分の中でパロディとオマージュには明確な線引きがある」という姿勢も読み取れます。場面ごとの引用がただの真似ではなく、表現上の必要性を踏まえた選択であったことが伝わる文章です。
おまけページは普段見落とされがちですが、こうした作家の創作観を直接知ることができる場として貴重な空間と言えます。伊藤潤二『うずまき』の作品概要と合わせて読むと、二つの作品の関係性がより立体的に見えてきます。
オマージュとパクリの境界を考える
うずまきの一件を振り返ると、オマージュとパクリの違いがどこにあるのかという問いが浮かんできます。一般的には、引用元へのリスペクトが伝わるか、そして当事者間で適切なやり取りが行われているかが大きな判断基準になります。
呪術廻戦のうずまきは、結果的に伊藤潤二先生本人の許諾を得てコミックスに収録されました。事後承諾という形ではあったものの、作家同士の信頼関係に基づいて落としどころを見つけた事例として、漫画業界内でも好意的に語られることが多い印象です。
一方で、無断使用が先行した点については「本来は事前に確認すべきだった」という指摘も残ります。週刊連載という特殊な現場ゆえの限界があるとはいえ、商業作品としてのプロセスをどう整えるかという課題は今後も問われ続けるテーマです。
読者の立場では、好きな作品同士のつながりが見える瞬間はワクワクする体験ですが、その背後には作家の権利や敬意の問題が常に存在します。アニメ呪術廻戦の公式サイトのような一次情報源を確認しつつ、二次的な解説と組み合わせて読むと、より落ち着いた理解が可能になります。
SNS上で「パクリ」というラベルを安易に貼ると、作家や作品に深刻なダメージを与えることがあります。事実関係を慎重に確認する姿勢が大切です。
アニメ渋谷事変編での演出と描写
アニメ呪術廻戦第2期「渋谷事変」は、2023年8月31日から2023年12月28日まで全18話で放送されました。原作134話に該当するうずまきのシーンは、終盤のクライマックスに合わせて映像化されています。
アニメ版では、コミックス16巻の修正済みデザインをベースに作画が組み立てられています。伊藤潤二作品を強く想起させる構図は控えめになり、呪霊操術らしい禍々しさを独自のアニメーション表現で打ち出す方向にチューニングされた印象です。
制作はアニメ第1期から続投のMAPPAで、緻密な作画とエフェクトワークが視聴者から高い評価を受けました。特に呪力が螺旋を描いて圧縮されていく演出は、原作を未読の視聴者でも一目で「危険な技」と理解できる説得力を持っています。
SNS上の感想でも、視聴後に伊藤潤二作品をあらためて手に取ったという反応が目立ち、漫画とアニメの相互作用で関連作品の売上にも好影響が出たといわれています。アニメ化のタイミングと書店での復刻フェアが重なり、ホラー漫画ジャンル全体への関心がじわりと高まった時期でもあったのです。
関連するキャラクターについて深掘りしたい方は、当ブログの摩虎羅の元ネタ解説記事や、伏魔御厨子の元ネタ解説記事も合わせて読むと、呪術廻戦における「元ネタ」研究の楽しさがより伝わります。
呪術廻戦のうずまき元ネタが教えてくれること
ここまで、呪術廻戦のうずまきの元ネタについて、伊藤潤二作品との関わり、134話の登場場面、コミックス16巻での修正、作家同士の事後承諾の流れまでを整理してきました。うずまきの一件は、漫画文化におけるオマージュの取り扱いを考える上で象徴的な事例になっています。
作品同士が引用し合うことで物語世界に厚みが生まれる一方で、権利や敬意のラインを超えると作家を傷つける可能性も生じます。読者が二次的な情報を扱う際にも、出典を明確にし、原作者の意向を尊重する姿勢が欠かせない点です。
呪術廻戦のうずまきは、最終的には作家同士の誠実なやり取りで折り合いがついた事例として、商業漫画における理想的な落としどころの一つと評価されるようになりました。同じく民俗学・ホラー系のモチーフを扱った作品としては、当ブログのノウヌキ様の元ネタ解説も興味深いはずです。
呪術廻戦という作品をより深く楽しむためには、こうした背景情報を踏まえつつ、原作を改めて読み返すのが一番の近道だと感じます。次に16巻を手に取る機会があれば、おまけページの芥見先生のコメントもぜひ確認してみてください。
うずまきの元ネタを知ったうえで134話を再読すると、ホラー演出と呪術廻戦の物語が織りなす緊張感をより深く味わえます。