ゲーム配信や実況を観ていると「パリィ!」という掛け声が飛び交います。攻撃を華麗に受け流すあの技は、いったいどのゲームから広まったのでしょうか。
実はこの「パリィ」という響きの元ネタは、1993年に発売されたロマンシングサガ2の剣技だと言われています。さらに攻略本の誤植や、公式がそのネタに乗った歴史まで絡んで、独特の言い回しとして定着してきました。
この記事では、パリィ元ネタの核心である「パリィとパリイの違い」から、ダークソウルやSEKIROでの進化、話題のなろう作品までを丁寧にたどります。
- パリィ元ネタがロマサガ2だとされる根拠
- パリィとパリイの表記ゆれの正体
- ダクソやストIIIなど主要ゲームでの使われ方
- 「俺は全てを【パリイ】する」が注目される理由
目次
パリィの元ネタとなったゲームと意味の基本
最初に、パリィという言葉がどこから生まれ、どんな意味を背負ってきたのかを整理していきます。意外とゲーム史の細部に触れるテーマで、攻略本の誤植という偶然が公式ネタに昇華した経緯まで絡んできます。
元ネタを丁寧に追うと、アクションゲームだけの用語ではなく、RPGや格闘ゲームを横断する共通言語であることも見えてきます。
パリィの元ネタはロマサガ2の剣技
パリィの元ネタとして広く語られているのが、1993年にスクウェアから発売されたスーパーファミコン向けRPG「ロマンシング サガ2」に登場する剣技です。ゲーム内では敵の物理攻撃を1回だけ無効化する効果を持つ技として実装されています。
ターン制バトルの中で、味方キャラクターがあらかじめパリイを選択しておくと、その戦闘ターンで受ける物理攻撃を弾けるという仕組みです。当時のRPGでは珍しい受け身のコマンド技で、プレイヤーの間では一気に話題となりました。
特に「最終皇帝を守るためにパリイを閃かせる」といった攻略の定番ムーブが語り継がれたことで、ロマサガ2と言えばパリイ、パリイと言えばロマサガ2という結び付きがユーザーの間に根付いていきました。
この流れが後年のネットミーム文化にも波及し、古参のRPGプレイヤーほど「パリィの元ネタはロマサガ2だ」と自信を持って答えるようになった背景があります。実際、ゲーム系の用語辞典やwikiでも、パリィを語る際の出発点としてロマサガ2が挙げられることが多いです。
補足として、ロマサガ2の剣技パリイは「剣」または「小剣」を装備している時に閃く技で、特定のキャラクターだけでなく、継承システムによって代々の皇帝に受け継げるのも特徴でした。
英語のparryが語源で受け流しを意味する
パリィという言葉そのものの語源は、英単語の「parry」に由来します。英英辞典では「武器を使って相手の攻撃を逸らす、受け流す、避ける」といったニュアンスで説明される単語で、フェンシングや剣術の文脈で古くから使われてきました。
発音はカタカナで書くと「パリー」が近く、日本語化した際に語感が柔らかい「パリィ」「パリイ」といった表記に落ち着いたと考えられます。英語そのままの意味を引き継いでいるため、ゲーム内でも「攻撃を弾く」「受け流す」という機能を持つ技に割り当てられるのが一般的です。
この語源を知っていると、ジャンルをまたいでパリィという単語が登場する理由が腑に落ちます。RPGの剣技、格闘ゲームのシステム、アクションゲームの防御モーションと、形は違っても根底にあるのは「攻撃を受け流す」という同じコンセプトだからです。
西洋剣術では「パリィ・リポスト」という言葉があり、受け流しから素早く反撃につなげる一連の動きを指します。現代のアクションゲームでパリィ成功時に致命の一撃が入る演出は、この古典的な剣術の流れを忠実にゲーム化したものだと言えます。
攻略本の誤植パリィと正式表記パリイ
パリィというテーマを掘り下げるうえで外せないのが、「パリィ」と「パリイ」という2つの表記の存在です。実はロマサガ2のゲーム内では「パリイ」と大きな「イ」で表記されていますが、一般には小さな「ィ」で「パリィ」と書かれるケースが目立ちます。
この食い違いの発端は、ロマサガ2の発売当時に刊行された攻略本の誤植だと語られています。本来は「パリイ」と記すべきところを、小さな「ィ」で「パリィ」と書いてしまった誌面がユーザーの間で話題になり、そちらの表記が独り歩きしていったのです。
サガ系の用語辞典やピクシブ百科事典でも、「ゲーム内表記はパリイだが、攻略本の誤植に由来するパリィの方が一般的に流通している」と整理されています。カタカナ表記のゆれが、そのままネット文化の一コマとして定着した珍しい例です。
このあたりの事情を押さえると、記事やSNSで「パリィ」「パリイ」どちらが正しいのかという議論をしばしば見かける理由が見えてきます。厳密な正解は「パリイ」ですが、ネット文化としての元ネタ共有では「パリィ」の表記が事実上のスタンダードになっていると考えて差し支えありません。
エンペラーズサガで公式がネタ化
誤植だったはずの「パリィ」表記は、その後なんと公式側で堂々とネタにされることになります。舞台となったのは、2012年にサービス開始したブラウザゲーム「エンペラーズ サガ」です。
同作では、ロマサガ2由来の「パリイ」と、誤植表記から逆輸入された「パリィ」を、あえて別々の技として登場させるという大胆な采配が行われました。プレイヤーの間では「誤植を公式が拾い上げた珍しい事例」として語り継がれ、一気に認知度が高まった出来事でもあります。
こうした経緯を知らずに「パリィとパリイは同じ意味でしょう」と思ってしまうと、古参ファンの前でうっかり混同してしまい、細かい違いを指摘される場面も出てきます。サガ系ユーザーにとっては、このカタカナ一文字の差が「思い入れのある歴史そのもの」なのです。
ネタにした公式スタンスは、その後のミーム化にも少なからず影響を与えました。ファンが安心してパリィ表記を使える土壌ができたことで、ネット上でのパリィネタはますます自由度を高めていきました。
メモとして、エンペラーズサガは2019年にサービスを終了していますが、「パリィとパリイが別技」という逸話は今もサガ系コミュニティで語り継がれています。
ロマサガ2のゲーム内での効果
ここでもう一歩踏み込み、元ネタとなったロマサガ2のパリイが、実際どんなゲーム効果を持っていたのかを整理しておきます。単なる「防御コマンド」とは一線を画す、独自の仕様が用意されていました。
パリイは発動したターンに受ける物理攻撃を1回分だけ無効化するという性能で、盾ガードやカウンターとは別軸の技として設計されています。発動条件は剣または小剣の装備で、それ以外の武器ではそもそも閃くチャンスが生まれません。
習得の流れは、ロマサガ2特有の「閃きシステム」に従います。強敵との戦闘中に、条件を満たしたキャラクターが突然ひらめいて覚える技で、プレイヤーが狙って取得しようとすると運とレベルのバランスに振り回されるのが醍醐味でもありました。
リメイク版「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」でもパリイは継続登場しており、閃きを狙って育成するプレイが今も人気です。リメイク版では「オートパリイ」というアビリティも追加され、特定条件で自動的に敵の攻撃を弾ける仕様になっています。
このように元ネタを丁寧にたどると、ロマサガ2におけるパリイは単なる単発技ではなく、閃きシステム・装備条件・継承など、作品全体のゲームデザインと深く結び付いた重要な要素だと分かります。
パリィが使われるゲームと派生ミーム
続いて、元ネタとしてのロマサガ2を起点に、どのようにパリィという概念が他のゲームへ広がっていったのかを見ていきます。アクションRPGから格闘ゲーム、さらにはなろう系小説まで、ジャンルを横断する広がりを確認しましょう。
単純な防御技ではなく、「タイミングを読んで受け流す」という体験そのものが各作品で繰り返し磨かれてきたことが見えてきます。
ストリートファイターIIIのパリィ
パリィという概念をアクション系に広めた功労者として外せないのが、1997年にカプコンから稼働した業務用格闘ゲーム「ストリートファイターIII」です。同作では、ガード入力ではなく「レバーを前に入れる」という独特の操作で敵の攻撃をパリィできる仕組みが採用されました。
ジャストタイミングでレバーを前入れすると、相手の打撃や飛び道具を完全に受け流し、隙を突いて大ダメージを与えられるというデザインです。守り一辺倒だった格闘ゲームに「攻めの受け」という発想を持ち込んだ点が、プレイヤーの間で高く評価されました。
特に有名なのが、世界的な格闘ゲーム大会「EVO」での1試合を指す「EVO Moment 37」と呼ばれるシーンです。プロ選手が相手の連続超必殺技を全段パリィで受け切って大逆転したこの試合は、格闘ゲーム史に残る伝説的なプレイとしていまだに語り草となっています。
この出来事もあって、2000年代以降の格闘ゲーム界ではパリィという言葉が「華麗な受け流し」の象徴として定着します。ストIIIがアクション系パリィの代名詞的存在となり、その後のダークソウル系パリィにも少なからぬ影響を与えたと評価されています。
ダークソウルで致命の一撃を狙う
アクションRPGにおけるパリィの印象を決定づけたのが、フロム・ソフトウェアが手掛ける「ダークソウル」シリーズです。盾を構えた状態で攻撃入力のタイミングを合わせると、敵の攻撃を弾く「パリィ」が発生し、成功後に続けて入力することで致命の一撃が決まります。
シリーズ各作の公式マニュアルでも、パリィは「タイミングよくガードして敵の態勢を崩す」重要アクションとして案内されています。ダクソ系のパリィは、ハイリスクハイリターンの駆け引きを象徴するシステムとして、多くのプレイヤーに強く印象付けられました。
ダクソでパリィを成功させるには、敵の攻撃モーションを一発ずつ覚えて、判定発生の一瞬前に正確にボタンを押し込む必要があります。失敗すれば無防備な硬直を晒すため、上級者のロマンを体現する技として人気を集めました。
注意として、ダクソ系パリィは全ての攻撃に有効ではなく、ボスの必殺技や大剣の薙ぎ払いなど、パリィ不可の攻撃も多く存在します。タイミングだけでなく、事前に敵の行動を学ぶ姿勢が求められます。
SEKIROの弾きとの関係
フロム・ソフトウェアが2019年に発表した「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」では、ダクソ系のパリィが「弾き」という形でさらに進化しました。受け流し成功時に敵の体幹ゲージを削り、一定値まで削ると「忍殺」と呼ばれる一撃必殺を決められる仕様です。
SEKIROの弾きは、ダクソ系パリィと異なり攻撃前提の駆け引きが中心です。防ぐというより「叩き合いながら削り続ける」感覚に近く、テンポよく繰り返すことでリズムゲームのような戦闘体験が生まれます。
この仕様が海外のゲームメディアから高く評価された結果、パリィ系アクションの代表例として世界的に認知されるようになりました。海外配信者の実況動画では、弾きを成功させ続けて敵の動きを完全に封じるシーンが繰り返しミームとして拡散されています。
結果として「SEKIROの弾き=派生形のパリィ」という理解が浸透し、日本国内でも攻略配信やリアクション動画で「今のパリィだ」と解説される場面が目立つようになりました。元ネタがゲーム外の文化圏へ広がっていく一例として、非常に分かりやすい進化形と言えます。
エルデンリングとエクスペディション33
2022年発売のオープンワールドRPG「エルデンリング」にも、ダクソ系の流れを汲むパリィが実装されています。盾や武器に付与された「戦技パリィ」を発動することで、敵の攻撃を受け流し、致命の一撃を叩き込むという基本は変わりません。
違いとしては、広大なフィールドや多彩なボスが用意された分、パリィを狙う対象と諦める対象を見極めるゲーム感覚が強化された点です。小型の人型敵にはパリィが刺さりやすく、ドラゴンや巨人にはほぼ通らないため、プレイヤーは自然に戦略的な選択を迫られます。
一方で、2025年発売のRPG「Clair Obscur: Expedition 33」はターン制戦闘にパリィを組み合わせた珍しい作品です。敵の攻撃タイミングを読んで直前にパリィ入力を行うと、攻撃を無効化しつつ反撃フェーズに移行できます。
こうした新作でのパリィ採用は、元ネタのロマサガ2から約30年を経てなお、パリィという概念がゲームデザイン上の強力な道具として使われていることを示しています。ジャンルを問わず広がり続けるテーマとして、今後も注目されていくはずです。
俺は全てを【パリイ】する
ゲーム用語としてのパリィを、さらに別角度で有名にしているのが、小説投稿サイト「小説家になろう」発のファンタジー作品「俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜」です。著者は鍋敷氏、2019年に連載開始されました。
主人公ノールは、あらゆるクラスに才能がないと言われ、唯一のスキル「パリイ」だけをひたすら磨き続けた青年です。本人は最低ランクの冒険者だと思い込んでいますが、実際はどんな攻撃も受け流す規格外の能力者という典型的な「逆勘違い無自覚最強」もののヒット作として話題を集めました。
2020年3月時点ではなろう年間総合ランキング1位を獲得し、書籍化・コミカライズに続いて、2024年7月からはアニメ化も実現しました。コミックスやアニメの配信を通じて、ゲームをあまりしない層にも「パリイ」という響きが届くようになっています。
この作品の存在が、「パリィ」と「パリイ」の表記ゆれに新たな一石を投じた側面もあります。なろう・書籍・アニメの公式タイトルで「パリイ」表記が採用されているため、ゲーム原典に寄り添う形で新しい世代に浸透しているのです。
| 作品 | 登場年 | パリィの役割 |
|---|---|---|
| ロマンシングサガ2 | 1993年 | 剣技として元ネタ化 |
| ストリートファイターIII | 1997年 | 格闘ゲームのシステム化 |
| ダークソウルシリーズ | 2009年〜 | 致命の一撃を引き出す防御技 |
| SEKIRO | 2019年 | 弾きとして発展 |
| 俺は全てをパリイする | 2019年〜 | 小説原作のヒットワード化 |
現在では書籍系や関連グッズも出揃い、公式のアース・スター ノベル特設ページを起点にシリーズの世界観を追えるようになりました。「パリィ元ネタ」をテーマに調べる際、ゲームと並行してチェックしておきたい存在です。
パリィ元ネタのまとめ
最後に、ここまで追ってきたパリィ元ネタのポイントを整理します。ロマサガ2の剣技「パリイ」と、そのカタカナ表記をめぐるネット文化を軸に、幅広いゲームや創作へ広がってきた歴史が浮かび上がってきました。
まず押さえておきたいのは、パリィの言葉としての根っこは英語のparryにあり、ゲームでの元ネタはロマンシングサガ2だと語られているという事実です。そのうえで、攻略本の誤植から広まった「パリィ」表記と、ゲーム内の「パリイ」表記の違いを知っていると、会話やSNSでの混乱を避けやすくなります。
また、元ネタを知ることで、ストIIIのEVO Moment 37、ダークソウルの致命の一撃、SEKIROの弾き、なろう発の「俺は全てを【パリイ】する」といった話題が一本の線でつながって見えてきます。どれもパリィという概念を違う角度から拡張した派生形であり、ピクシブ百科事典のパリイ項目などを参考にすると、網羅的に把握しやすいはずです。
気になった方は、公式マニュアルで紹介されているダークソウルIIIのアクション解説や、小説家になろう版の原作にも一度触れてみるとよいかもしれません。ゲームのパリィ体験が、ネットミーム由来の独特な楽しみ方に変わっていく感覚が掴めるはずです。
関連テーマとして、集中状態をテーマにした「ゾーンに入る」の元ネタ解説や、BEMANI文化を扱ったred zoneの元ネタ考察、漫画原作の専門用語に触れるゾナハ病の元ネタまとめも合わせて読んでいただくと、元ネタ文化の楽しみ方が広がります。