就職活動や転職活動において、応募書類を郵送する機会は少なくありません。このとき、履歴書だけを封筒に入れるのではなく、送付状（添え状）を同封するのがビジネスマナーとされています。近年ではパソコンで作成するケースが増えていますが、あえて手書きにすることで熱意や丁寧さを伝えたいと考える方もいるでしょう。しかし、いざ筆を執ろうとすると、どのような文章を書けばよいのか、縦書きと横書きのどちらが適切なのかなど、迷うポイントは多いものです。
本記事では、履歴 書 送付 状 手書き 例文を中心に、失礼のない正しい書き方やマナーについて解説します。文字の美しさだけでなく、相手への配慮が伝わるような書類作りのヒントになれば幸いです。
この記事を読むことで、以下の内容が理解できます。
・履歴書の送付状を手書きする場合の基本的なマナーや注意点
・新卒やパートなど状況に合わせた具体的な書き出しや構成の例
・手書きに適した便箋やペンの選び方と失敗しないための道具選び
・宛名の書き方や書き損じた時の対処法など細かい疑問への回答
目次
履歴書の送付状を手書きする時の例文と基本
ここでは履歴書の送付状を手書きする時の例文と基本について説明していきます。送付状は単なる書類の目録ではなく、応募者の人柄や志望度の高さを伝える大切なツールになり得ます。特に手書きの場合は、文字から伝わる温かみや丁寧さがプラスの印象を与える可能性もあります。まずは基本的な構成やルールを理解し、相手に失礼のない一通を作成しましょう。順に見ていきましょう。
履歴書の送付状は手書きが良い理由とは
基本的な履歴書送付状の手書き例文
縦書きと横書きの選び方と注意点
新卒が送付状を手書きする際のポイント
パート応募時の手書き送付状の書き方
手書きの送付状を入れる封筒のマナー
履歴書の送付状は手書きが良い理由とは
パソコンでの書類作成が主流となった現代において、あえて手書きを選ぶことにはどのような意味があるのでしょうか。まず挙げられるのは、応募者の丁寧な姿勢や熱意が伝わりやすいという点です。デジタル作成された文書は効率的で読みやすい反面、画一的な印象を与えることがあります。一方、一文字ずつ丁寧に書かれた送付状からは、相手に対する敬意や、時間をかけて準備したという誠意が感じ取れる場合があります。
また、字が綺麗であること自体がアピールポイントになる職種もあります。例えば、事務職や秘書、受付といった業務では、手書きのメモや案内板を作成する機会があるかもしれません。こうした職種への応募であれば、美しい文字で書かれた送付状は実務能力の証明にもなり得ます。もちろん、字の上手下手に関わらず、読み手を意識して丁寧に書こうとする姿勢は、採用担当者の目に留まる可能性があります。
ただし、手書きには作成に時間がかかるという側面もあります。効率を最優先する企業やIT系の職種などでは、パソコン作成の方がビジネススキルとして評価されるケースもあるでしょう。それでも、古くからある日本的なマナーを重んじる企業や、人柄を重視する採用方針の会社に対しては、手書きの送付状が有効な手段の一つとなり得ます。状況に応じて使い分ける視点も大切です。
基本的な履歴書送付状の手書き例文
手書きで送付状を作成する際は、一般的なビジネス文書の構成に従うことが重要です。基本的には「頭語」「時候の挨拶」「相手の繁栄を祝う言葉」「応募の経緯」「同封書類の説明（記書き）」「結語」といった要素を含めます。これらを便箋にバランスよく配置することで、整った印象の文書になります。
具体的な文面としては、以下のような流れが一般的です。まず冒頭に「拝啓」と書き、続けて季節に合わせた時候の挨拶を入れます。例えば春であれば「陽春の候」、季節を問わず使える「時下」なども便利です。それに続けて「貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」といった繁栄を祝う言葉を添えます。
次に、本文へ入ります。「この度、貴社の求人を拝見し、応募書類を送付いたしました」と簡潔に応募の旨を伝えます。ここで長々と自己PRを書く必要はありませんが、「これまでの経験を活かし、貴社に貢献したいと考えております」程度の一文を加えると意欲が伝わります。最後に「ぜひ面接の機会をいただけますよう、お願い申し上げます」と結び、「敬具」で締めます。
本文の後には、別記として同封書類のリストを記載します。中央に「記」と書き、その下に「履歴書 一通」「職務経歴書 一通」などと箇条書きにします。最後に右端に「以上」と添えるのを忘れないようにしましょう。これらが基本的な型となります。
縦書きと横書きの選び方と注意点
送付状を手書きする場合、縦書きにするか横書きにするかで迷うことがあるかもしれません。日本の伝統的な手紙のマナーとしては、目上の人や改まった相手に送る手紙は縦書きが基本とされています。そのため、採用担当者への敬意を最大限に表したいのであれば、縦書きの便箋を選ぶのが無難と言えるでしょう。縦書き特有のフォーマルな雰囲気は、誠実さや礼儀正しさを強調するのに役立ちます。
一方で、横書きが絶対に駄目というわけではありません。特に、同封する履歴書や職務経歴書が横書きで作成されている場合、送付状も横書きで統一したほうが読みやすいという考え方もあります。また、企業名にアルファベットが多く含まれている場合などは、縦書きだと書きづらく、読みづらくなることもあります。そのようなケースでは、横書きを選ぶほうが自然な場合もあります。
縦書きを選ぶ際の注意点として、数字の表記が挙げられます。縦書きでは基本的に漢数字（一、二、三）を使用します。日付や番地などを書く際は、「令和五年十月一日」のように漢数字で統一しましょう。逆に横書きの場合は、算用数字（1、2、3）を使うのが一般的です。どちらの形式を選ぶにせよ、一つの文書内で表記が混在しないよう注意が必要です。便箋のデザインも、縦書き用と横書き用で罫線が異なるため、書き始める前に確認しておきましょう。
新卒が送付状を手書きする際のポイント
新卒の就職活動においては、ビジネスマナーを正しく理解しているかどうかが評価の対象になることがあります。そのため、手書きの送付状を作成する際も、基本に忠実であることが何より大切です。奇をてらった表現や過度な装飾は避け、清潔感のある白無地の便箋に、黒のボールペンで丁寧に書くことを心がけましょう。
新卒の場合、職務経歴がないため、本文で触れるべき内容は学校での専攻や部活動、アルバイト経験などで培った強みになります。ただし、送付状はあくまで書類の送付を知らせるためのものです。自己PRは履歴書やエントリーシートに詳しく記載し、送付状では「大学で学んだ〇〇の知識を活かし、貴社の業務に貢献したい」といった簡潔な表現に留めるのがスマートです。
また、新卒ならではの注意点として、大学指定の履歴書封筒を使用する場合の対応があります。大学の封筒にはあらかじめ送付状の簡易的な欄が印刷されていることもありますが、基本的には別紙で送付状を用意し、履歴書の一番上に重ねて入れるのが丁寧です。この一手間が、他の学生との差別化に繋がる可能性もあります。慣れない言葉遣いに戸惑うかもしれませんが、「拝啓」「敬具」などの定型文を正しく使いこなすことで、社会人としての基礎力をアピールできるでしょう。
パート応募時の手書き送付状の書き方
パートやアルバイトの応募であっても、履歴書を郵送する際には送付状を同封するのが望ましいです。ただし、新卒や正社員の中途採用ほど堅苦しい形式にする必要はありません。もちろん丁寧語や敬語は必須ですが、時候の挨拶などを省略し、より実務的な内容に絞ったシンプルな構成でも失礼にはあたらないケースが多いです。
書き出しは「拝啓」から始め、「時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」といった定型句を入れると丁寧です。もし少し柔らかい印象にしたい場合は、「突然のご連絡失礼いたします」といった書き出しも考えられますが、ビジネス文書としては定型句が無難でしょう。本文では、「〇〇（求人媒体名）の求人を拝見し、応募書類を送付いたしました」と明確に伝えます。
パート応募の場合、勤務可能な曜日や時間帯が重要な採用基準になることがあります。そのため、送付状の中に「週〇日、〇時から勤務可能です」といった勤務希望を書き添えておくと、採用担当者にとっても親切です。また、「以前〇〇の業務を経験しており、即戦力として貢献できると考えております」など、簡単なアピールを加えるのも効果的です。最後は「面接の機会をいただけますと幸いです」と結び、氏名と連絡先を忘れずに記載しましょう。
手書きの送付状を入れる封筒のマナー
送付状や履歴書の準備ができたら、最後に封筒への入れ方と宛名書きのマナーを確認しましょう。まず、書類を入れる順番ですが、封筒から出した時に一番上に送付状が来るようにします。その下に履歴書、職務経歴書、その他の証明書などが続くように重ねます。これらをまとめてクリアファイルに入れると、郵送中に折れ曲がったり濡れたりするのを防ぐことができ、非常に丁寧な印象になります。
封筒の宛名書きも、中の送付状と同様に手書きで行います。黒のサインペンや油性ボールペンを使用し、雨に濡れても滲まないように配慮します。住所は都道府県から省略せずに書き、ビル名や階数も正確に記載しましょう。宛名は封筒の中央に大きく配置し、会社名や部署名には「御中」、担当者個人名には「様」を付けます。「御中」と「様」を併用しないよう注意が必要です。
封筒の左下には、赤字で「応募書類在中」または「履歴書在中」と書き、定規を使って四角く枠で囲みます。これによって、受け取った企業側ですぐに重要な書類であると認識してもらえます。裏面には自分の住所と氏名を記載し、封をする際は糊付けした後に「〆」マークを書きます。細部まで気を配ることで、開封する前の段階から好印象を与えることができるでしょう。
履歴書の送付状を手書きする例文を活用するコツ
ここでは履歴書の送付状を手書きする例文を活用するコツについて説明していきます。例文を参考にしながらも、自分なりの工夫や配慮を加えることで、より完成度の高い送付状になります。道具選びや宛名の詳細、ミスをした時の対応など、実践的なポイントを押さえておきましょう。順に見ていきましょう。
手書き送付状に適した便箋とペンの選び方
宛名における御中や採用担当者の書き方
状況に応じた手書き送付状のアレンジ術
丁寧な字で書くための心構えと準備
書き損じた場合の対処法と修正の是非
履歴書の送付状を手書きする例文のまとめ
手書き送付状に適したペンと便箋の選び方
手書きで送付状を作成する場合、使用する道具選びは仕上がりを左右する重要な要素です。まずペンについてですが、基本的には黒の油性ボールペンかゲルインクボールペンを選びましょう。水性インクは書き味が滑らかですが、水に濡れると滲んでしまうリスクがあるため避けたほうが無難です。また、消せるボールペンはビジネス文書には不向きです。熱で消えてしまう可能性があるため、履歴書や送付状などの重要書類には絶対に使用しないでください。ペンの太さは0.5mmから0.7mm程度が読みやすく、適度な力強さを表現できます。
次に便箋の選び方です。ビジネスシーンでは、白無地またはシンプルな罫線入りのものが推奨されます。色付きや柄入りの便箋はカジュアルすぎる印象を与えるため、避けるべきです。サイズは履歴書や職務経歴書のサイズ（一般的にはA4またはB5）に合わせるのが基本です。書類のサイズが不揃いだと、採用担当者が管理しにくくなる可能性があるためです。
縦書き用の便箋を選ぶか、横書き用を選ぶかは、前述の通り書くスタイルに合わせます。罫線の幅があまりに狭いと文字が詰まって読みづらくなるため、ある程度のゆとりがあるものを選ぶと良いでしょう。紙質も重要で、薄すぎる紙だと裏写りしたり安っぽく見えたりすることがあります。適度な厚みのある上質な紙を選ぶことで、品格のある送付状に仕上がります。
宛名における御中や採用担当者の書き方
送付状における宛名の書き方は、ビジネスマナーの中でも特に間違いやすいポイントです。基本ルールとして、組織宛（会社や部署）には「御中」、個人宛（担当者など）には「様」を使用します。例えば、人事部に送る場合は「〇〇株式会社 人事部 御中」となります。一方、採用担当者の名前が分かっている場合は「〇〇株式会社 人事部 採用担当 田中 太郎 様」のように書きます。
よくある間違いとして、「御中」と「様」を両方付けてしまうケースがあります。「人事部 御中 田中 様」といった書き方は誤りですので注意しましょう。また、担当者の名前が分からないけれど個人宛のようなニュアンスで送りたい場合は、「採用ご担当者様」という書き方が便利です。これなら特定の個人名を特定せずに、担当者への敬意を表すことができます。
縦書きの送付状の場合、宛名の位置にも配慮が必要です。基本的には、本文、日付、自分の名前を書いた後、最後に宛名を書きます。このとき、宛名は自分の名前よりも高い位置から書き始めるのがマナーです。相手への敬意を表すため、自分の名前が相手の名前より上に来ないように配置します。横書きの場合は、本文の前の冒頭左上に宛名を書くのが一般的です。配置の違いを理解し、正しい形式で記載しましょう。
状況に応じた手書き送付状のアレンジ術
履歴書の送付状を手書きする例文はあくまで基本形であり、状況に応じて内容を微調整することで、より効果的なアピールが可能になります。例えば、転職回数が多い場合やブランクがある場合、送付状の中でその点に軽く触れ、前向きな理由を添えることができます。「出産・育児のためブランクがございますが、その間に〇〇の資格を取得し、復帰への準備を整えてまいりました」といった一文があれば、懸念点を払拭するきっかけになります。
また、未経験の職種に応募する場合も、送付状での補足が有効です。「異業種からの挑戦となりますが、前職で培った〇〇のスキルは貴社の業務にも応用できると考えております」など、熱意と共通点をアピールします。ただし、あくまで送付状ですので、長文になりすぎないよう注意が必要です。履歴書や職務経歴書を読んでもらうための導入としての役割を忘れないようにしましょう。
さらに、面接の希望日程について特別な事情がある場合も、送付状に記載しておくとスムーズです。「在職中のため、平日の日中は電話に出られないことがございます。留守番電話を残していただければ折り返しご連絡いたします」といった連絡に関する配慮を書き添えるのも、ビジネスコミュニケーションとして好印象です。定型文をベースにしつつ、相手の立場に立った一言を加える工夫を凝らしましょう。
丁寧な字で書くための心構えと準備
「字が下手だから手書きは自信がない」と感じる方もいるかもしれませんが、送付状において最も重要なのは「上手な字」ではなく「丁寧な字」です。達筆でなくとも、一画一画を丁寧に、心を込めて書くことで、相手に誠意は伝わります。まずは落ち着いて書ける環境を整えることから始めましょう。机の上を整理し、正しい姿勢で座るだけでも文字の安定感は変わります。
書き始める前に、別の紙で練習することをおすすめします。特に宛名や自分の名前など、絶対に間違えられない部分は何度か書いてバランスを確認しておくと安心です。また、便箋の下に下敷きを敷くか、罫線入りのガイドシートを透かして書くと、行が歪まずに真っ直ぐ書けます。文字の大きさにもメリハリをつけ、漢字は少し大きめに、ひらがなは少し小さめに書くと全体のバランスが良く見えます。
焦って書くと字が雑になりやすいため、時間には余裕を持って取り組みましょう。疲れてくると集中力が切れ、誤字脱字の原因にもなります。一度にすべて書き上げようとせず、適度に休憩を挟むのも一つの方法です。相手がこの手紙を読んでどう感じるかを想像しながら、読みやすさを第一に考えて筆を進めることが、丁寧な字を書くための最大の秘訣と言えるかもしれません。
書き損じた場合の対処法と修正の是非
手書きで書類を作成していると、どうしても書き損じをしてしまうことがあります。誤字脱字をしてしまった場合、修正液や修正テープを使用しても良いのでしょうか。結論から言えば、履歴書や送付状といった正式なビジネス書類においては、修正液などによる訂正はマナー違反とされています。修正した跡があると、「書き直す手間を惜しんだ」「仕事でもミスをごまかすかもしれない」といったマイナスの印象を与えかねません。
もし書き損じてしまった場合は、面倒でも新しい便箋に最初から書き直すのが原則です。これが、手書き作成の最も大変な点かもしれません。しかし、その労力を惜しまない姿勢こそが誠意として伝わるのです。どうしても書き直すのが難しい状況であれば、二重線を引いて訂正印を押すという方法もなくはありませんが、見栄えが悪くなるため、採用選考の書類としては避けたほうが賢明です。
書き損じを防ぐためには、鉛筆で薄く下書きをしてからボールペンで清書するという方法が有効です。ただし、清書後に下書きを消す際は、インクが完全に乾いてから行わないと、擦れて汚れてしまうので注意が必要です。また、書く内容をあらかじめパソコンやメモ帳で作成し、それを見ながら書き写すことで、文章構成のミスを減らすこともできます。失敗を前提に、便箋は多めに用意しておくことも心の余裕に繋がります。
履歴書の送付状を手書きする例文のまとめ
今回は履歴 書 送付 状 手書き 例文についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・履歴書の送付状は手書きすることで熱意や丁寧さを印象付けられる
・パソコン作成が主流だが手書きも有効なアピール手段の一つである
・基本構成は頭語と挨拶と応募の経緯と結語の順で書く
・本文は長すぎず簡潔にまとめ自己PRは要点を絞る
・縦書きは目上の人への敬意を表す伝統的な形式である
・横書きは履歴書と合わせる場合や英数字が多い場合に適している
・縦書きでは漢数字を使い横書きでは算用数字を使う
・新卒は学業や部活動の経験を簡潔に盛り込むと良い
・パート応募では勤務可能時間などを書き添えると親切である
・封筒への入れ方は送付状を一番上にしてクリアファイルにまとめる
・ペンの色は黒を選び消えるボールペンは使用しない
・便箋は白無地かシンプルな罫線入りのA4またはB5を使う
・宛名の御中と様は併用せず正しく使い分ける
・書き損じた場合は修正液を使わず新しい紙に書き直す
・字の上手さよりも相手を思って丁寧に書く姿勢が重要である
履歴書の送付状は、採用担当者とあなたの最初の接点となる重要な書類です。
手書きという手間のかかる方法を選ぶからこそ、そこに込められた誠意は相手の心に響く可能性を秘めています。
ぜひ本記事の例文やマナーを参考に、あなたらしい丁寧な一通を作成して、採用への第一歩を踏み出してください。
